私もアプリリアのMotoGPを陰ながら応援しておる者の一人ですが、私がアプリリアのMotoGPへの挑戦に興味を持って見ているのは、自分のバイクがアプリリアであることもありますが、250ccで敵なしの状態となっていたアプリリアが、MotoGP時代初期に早々に失敗し、撤退していったことが少なからず心に残っています。
そこからアプリリアはWSBK(ワールドス−パーバイク)でRSV4によってチャンピオンになるわけですが、今年のアプリリアのMotoGPマシンは、WSBKで活躍したRSV4のエンジンを改良していた前年型とは全く異なるニューマシンとなっています。今回はそのRSV4のエンジンについてです。
アプリリアにとってレースというものは、常に重要な位置付けにあり続けている。イタリアのノアーレに拠点を置くアプリリアは1970年代中頃にレースへの参戦を始め、モトクロスの世界ですぐに頭角を表すことになる。
その後、情熱(と資金)を持ったイヴァノ・ベッジオはロードレーシングの世界へ足を踏み入れる。そこでアプリリアは世界WGP125cc、250ccの両クラスで、FIMが2ストロークエンジンを廃止するまで、その地位を不動のものとする。
しかし、ベッジオにとって125ccと250ccだけでは不十分であり、そのチャレンジをスーパーバイクへと向けていく。ロータックス製の60度1000ccVツインエンジンを搭載したRSV1000はトロイ・コーサーと芳賀紀行にたくされた訳だが、もう一歩のところでタイトルを逃してしまう。
8耐お疲れ様でした! ニトロノリとRCV1000 |
MotoGPが1000ccの4ストロークエンジンとなったことにもベッジオは興味を示し、彼は後に大きな失敗に終わってしまう"Aprilia cubeプロジェクト"に大量の資金をつぎ込んだ。
元F1フェラーリチーム代表、クラウディオ・ロンバルディによって、F1のエンジンから改良を加えた3気筒のエンジンによってプログラムを走らせたのだ。直列3気筒のエンジンの性能をMotoGPで示すことだけでなく、アプリリアのレース活動に支障をきたすほどの事態となり、資金も減少していった。
当時のマシンの見た目はフレームなどが直線的で、なかなか格好よかったです。 |
これがMotoGP初のニューマチックエンジンであったと思います。F1のテクノロジーをそのまま持ってきてしまったようなエンジンだったようです。そういった意味でもHonda の中本氏らによるニューマチックバルブ、シームレスシフトの導入はやはりHondaといったところです。 |
最終的にベッジオはすべてのバイク部門を手放すことになる。アプリリアと、モトグッチはスクータの巨大企業、ピアッジオグループ傘下に加わることになった。
そして、もはや競争力を失っていたRSV1000に変わってアプリリアが再びスーパーバイクの頂点に立つチャンスを与えるために、ピアッジオは新しいプロジェクトを立ち上げた。
プロジェクトは当初、3つのエンジンが検討されていた。
一つ目はあれほどのCubeプオジェクトの失敗にもかかわらず、3気筒エンジンによる参戦だった。そして狭角のV4エンジン、オーソドックスな直列4気筒エンジンだ。
実際に狭角のV4エンジンは1次、2次振動ともに直列3気筒のエンジンよりも優れていた
。しかし、直列4気筒はより優れた1次振動特性を持っているので、小さなバラスシャフトを追加することで振動をキャンセルした。
狭角V4は2次振動の面でも直列4気筒よりもがわずかに劣るが、ほんのわずかな話、実際に感じる振動は直列4気筒よりも若干良いものだったとのことだ。
狭角V4のもう一つの利点は、チャンピオンを獲ったRS250のフレームジオメトリに近いものにすることができるということだ。なぜなら、RS250はそのクラスで、ベストハンドリングバイクと言われていたからだ。
アプリリアの技術者は当初、60度のV4エンジンから始めたが、最終的にはエアインテイクなどの特性や大きさなども考慮して採取的に65度が採用された。(アプリリアとは別の話だが、すべての伝説的なフェラーリのV12エンジンはVアングルが、通常の60度ではなく、65度であることだ。何か理由があるのだろうか?私には説明がつかない)
そしてアプリリアの狭角V4エンジンは220馬力を誇るスーパーコンパクトなエンジンとなったのだ。
1. エンジンは非常にコンパクトで、直列4気筒に比べて全高、全長がが抑えられている。そして、90度のV4以上に全幅を抑えていて、短いのだ。乾燥重量は約69kg。 RSV4 Factoryのエンジンは直列4気筒に比べて重量で大きなアドバンテージはない。 |
上からの写真ではなぜVアングルがオーソドックスな60度ではなく、65度でなければならなかったのかがわかるだろう。エアインレットの空気の流入速度を確保するための可変長システムを配置する空間が必要だったのだ。 |
クランクケースの下部はオイルを除くと約6kgである。3つのクランク軸受けはアルミの鋳造品であり、捻れや歪みを防止する鋼鉄が挿入されていないが、スチールもしくは鋳鉄(鋳造の鉄、溶かして作る鉄。鋼鉄の方が一般に強度があります)などが、このような高性能エンジンではポルシェのボクサー6気筒エンジンなどのように用いられることがある。 |
クランクシャフトは180度位相差のついたクランクで、2012年から全てのクランクは、高回転での潤滑液との摩擦を避けるために鏡面のように磨かれている。クランクの重さは約5.9kgである。 |
バランサーシャフトはクランクのて前にあるもので、小さなカウンターウェイトが付いている。バランサーはクランクシャフトと同じスピードで回転するので、クランクとバランサーのギアレシオは当然ながら1:1である。バランサーシャフトの内側のギアはエンジンスターターのモーターにつながるギアである。 |
MV AgustaやDucatiのようにアメリカからではなく、アプリリアは日本からバルブを購入したようだ。吸気バルブはチタン製で32mm直径は5mm、約22g。排気バルブは鋼鉄製で26mm、直径5mm、32g。 |
このエンジンを囲むボックスはアプリリアのエンジニアがRSV4のエンジンをデザインする際に用いたもので、スイングアームの長さをどれぐらいにするのかをイメージしながら、ドライブスプロケットの位置から、フロントホイール、サスペンションの移動量とエンジンの高さの限界はど、全てのV4エンジンで検討を重ねたものである。 |
このアニメーションがエアボックスの中で、可変のエアインテークマニホールドの動作の様子である。低回転の時は長くなることによって、トルクを稼ぎ、高回転時はもっとも短くなる。この可変技術によって全ての回転域で適切なパワーを取り出すことが可能になる。 |
From cycleworld
いかがでしたでしょうか。RSV4が欲しくなってきましたね。WSBKではもちろん、MotoGPにおいても、このような技術の延長で昨年のアプリリアのエンジンは機能していたようです。
ドゥカティのエンジンはストレートが異様に早いですが、やはりあれはニューマチックバルブではなく、ドゥカティのアイデンティティとも言える、デスモドロミックによってバルブを駆動している分、バルブの駆動に出力を持って行かれていないからなのでしょうか。
そうだとすれば、来年以降もドゥカティのエンジンのパワフルっぷりは健在ということになると思われますが、そのあたりも楽しみなところですね。
それでは
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