スペインGPでのロッシの勝利によって、ロッシの、エレクトロニクスの無かった時代の経験に注目が集まっていますが、ロッシでなければ出来なかったことなのでしょうが、今後のヨーロッバラウンドがまたわからなくなってきました。
ヘレスで圧倒的な勝利は熱心なロッシファンでさえ想像することが出来なかっただろう。彼はこの状況をどのように引き込んだのだろうか?
スペインGPでの最後の優勝は7年前のことになる。それは偶然にも彼がMotoGPタイトルを獲得した最後の年なのだが、ロッシは今シーズン最初の勝利をロレンソ、マルケスといったスペインをホームとする強力なライバルから奪って見せた。
「パーフェクトなウィークエンド」を演出し、37歳にして9度のワールドチャンピオンであるロッシは2000年代中盤の全盛期を彷彿とさせる走りをみせた。
87回目のプレミアクラスでの勝利であり、彼の1996年からのレーシングキャリアの中で113回目の勝利は、"ザ・ドクター"よる非常に印象的なものとなった。これまでの展開を考えると、彼がポール・ポジションからスタートして、すべてのラップを先頭でリードして優勝することは信じ難かったのではないだろうか。
この勝利に秘密はあるのだろうか?その秘密はすべて彼の手首にあるのではないかと思われるが、より率直に言えば、どのようにしてほとんどのライダーが対応しきれなかった、2016年の統一ECU(エンジン制御コントローラー)のスロットル操作を彼がマスターしたのかということだ。
シーズン前にさかのぼると、ライダー達は新しいECUに対して「時代が戻った」というような表現をしていた。
であるので、もっとも年長の彼がスリッピーなヘレス・サーキットでミシュランのハードな構造のリアタイアを、フィールド上で誰よりも上手く走らせることが出来たとすれば、納得のいく話ではある。
教科書のようなスロットルコントロールによって、ロッシはリアのスピニングを回避することが出来た一方で、上位から下位のライダーまで、ロレンソですらスピニングの問題を起こしていた。
「日曜日は違うライディングスタイルで走っていましたね」ロレンソの長年のチーフクルーのラモン・フォルカダはそう言って「エレクトロニクスが無かった頃のバレンティーノの経験がそれを可能にしたんだと思います」
「事実、2008年にホルヘがヤマハに加入してきたときに、私たちは彼のスロットルの操作に驚かされました、特にタイヤが消耗したときですね。
彼はタイヤが消耗してきても、スロットル操作によってペースを維持することができました。でもエレクトロ二クスが進歩してからは、ライダー達はエレクトロニクスにすべて頼っていましたのでね」
そして、彼のライバルのリアタイヤが消耗しているなか、ロッシはロレンソのアタックにあいながらも、一周0.2秒差をつけながら引き離していった。
「バレンティーノの興味深いところは、グリップがほとんどない時でもスロットルでそれをコントロールすることが出来たところです。
すべてのライダーがスライドしていました。それはストレートで5速の状態でもです。このことで、今のエレクトロニクスはそこまでいいものではないということがわかります。なぜならスピニングが止まらないということは、ライダーがそれをスロットルで調整しなければなりません。昨年のエレクトロニクスではそのマージンがより大きかったのです」
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