マシュー・バートは21年にわたってMotoGPを取材してきた経験のなかで、チャンピオンシップの裏も表も知っている人物である。今回彼はパドックの中からのニュースを届ける。
私が1996年、ヘレスで初めてMotoGPを取材をして以来、永遠のように感じていることがある。
私はその時のことをよく覚えている、なぜならミック・ドゥーハンとアレックス・クリヴィーレがドラマティックなレースを展開したことと、私が乗った車にトラックが衝突し、脳震盪を起こして肘の骨を骨折し、帰宅したからだ。
そしてその20年の間、ほんの一握りのライダーが夢を叶えるシーンと、何百ものライダーがそれを成し遂げることなく去っていく様子を見届けてきた。
MotoGPは刻々と変化していくが、たった一つの変わっていないことがある。
バレンティーノ・ロッシがトップにいることだ。
彼は当時の125ccクラスでわずか0.046秒差でノビー・上田の後塵を拝し、4位となって初めての表彰台を逃した。
もし誰かが1996年5月12日の私に、2016年の4月24日にロッシがMotoGPクラスで優勝していること教えてくれたとしても、私はそれをまったく信じなかっただろう。
ロッシの先週末のヘレスでの素晴らしい勝利は、数々の時代をまたいで、時の流れに逆らい続ける、彼のキャリアの中での最新の章だ。
37歳の彼の持っている力、再発明の能力は未だに我々が言葉を失うほどのパフォーマンスを見せてくれる。
このベテランはまだ新しい引き出しがあることを教えてくれた。ロッシはミシュランタイアの特性に素早く対応し、豊富な経験で電子制御の介入が少なくなったソフトウェアで、見事なタイヤマネージメントを見せてくれた。
ロッシはコンピュータがミスのない走りを提供してくれる現代MotoGPよりも前の時代からやってきている。その時代は右腕がトラクションコントロールだったわけで、気温の上昇したスペインGPで、ホイールスピンをコントロールすることにおいて、ロッシは他のライダーよりも一枚上手であった。これはロレンソのチーフ・クルーのラモン・フォルカダも認めるところである。
日曜日のレースはロレンソのスムースなライディングスタイルが強みを見せるかと思われたが、ザ・ドクターは独自の答えを用意していたのだ。
From MotoGP.com
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